口蹄疫(Foot and mouth disease)はウシ・ヤギ・ヒツジ・ブタが感染する病気ですが、家畜の伝染病としてはもっとも感染力が強い為に人の往来は制限され、農場で一頭でも感染が確認されればその動物だけではなく、全頭を処分してしまわなければなりません。
近づいてくる病気に 畜産を営むBeckyの家族は祈るしかなく、とうとう隣の牧場からも感染が見つかってしまいます。かわいがっているウシやヒツジ達はどうなるのでしょうか?
2001年にイギリスで猛威をふるった口蹄疫を、13歳の少女Beckyの目を通して描いた作品です。
Backyの日記という形をとって書かれているので文章は平易だし、序盤ではブラッド・ピット似のハンサムだというBeckyお気に入りの獣医師さんが出てきたりして、最初はのんびりムード。
でも事態が進むにつれシリアスになり、この病気の恐ろしさが本当によく伝わってきました。
平易な英文でも内容は深いです。
重そうなテーマだなと思ってずっと読まずに本棚に置いてあったのですが、手にとって本当に良かったと思う。
畜産農家にとって自らの家畜を処分されるということは、単に生活の糧を失うというだけの事ではないのですね。
Backyの家族や周りの人の愛情に随分救われました。
そして温かみのある挿絵にも。時間をかけて辛さをどうにか乗り越え、未来に向けた一歩を踏み出したところで物語は終わります。
実際の2001年イギリスでは、最初の発生から10ヶ月を経てようやく終息宣言が発表になりました。
実に600万頭の家畜がこの病気により殺処分されてしまったそうです。