ある夜、老夫婦BobとJoanの元に現れた少年。”I was a rat ” と言うだけで身元も名前もわかりません。困った夫婦は彼をつれて役所や警察にいきますが、結局たらいまわし。そのうち少年に目をつけるものが現れます。
BobとJoanが引き取り手を探してうろうろする序盤は、Louis SacharのWayside school シリーズみたいなナンセンスドタバタ系かなぁなんて思っていたのですが、そうではなかったです。
興味本位で近づいてくる男たち、暴走するマスコミ。
童話でありながら 現実世界を写す鏡みたい(誇張されてはいるけれど)で、こんなもののために老夫婦と少年のささやかな生活が奪われてしまうのかと思うと悲しかった。
最後に大物の行動で風向きが変わるのですが、その様子はまたチクリと風刺が効いていますね。
老夫婦は、物語の中で温かさを放っていました。
決して裕福ではない二人、少年を探して尋ね歩くうちに旅費が尽きてしまいます。
一旦家に帰って何日か働き、わずかなお金を作ってまた探しに行く。
ここは何気なく描写されていますが、きっと気はせいているだろうに・・・。
彼らには幸せになって欲しい。
ちょこちょこ挿入されるペン画が可愛らしかったです。