全てが管理され、何の心配もなく生きていける社会。12歳になったJonasは”Receiver”という極めて重要で稀有な職務に従事するよう指名をうける。前任者から職務の引き継ぎを受けるうち、今まで知りもしなかった世界の真実に気づくJonas。このままでは絶対にいけないと全てを賭けた決断を下すのだが…。
争い・飢え・失業・苦しみもなく、統制された世界に住むJonas。
12歳になるのを少し緊張して待っていました。
なぜなら12歳になれば全ての子供たちは 以後一生従事する事になる職業を割り当てられるから。
「完全なユートピア」だという世界は何か違和感があって、でもどんな所なのだろう?という興味で引き付けられて読みました。
全ての人が苦しまないように突き詰めていったら、こんな世界になってしまうんだろうか。
何の心配も、苦しみも悲しみもなく暮らせる代わりに多くのものを失っている。
でも失っていることにさえ気付けない。
最初 家族だんらんのシーンから何かが妙な感じだったのだけれど、ゆっくりと真実が明らかになってゆく。
終盤は悲しくも美しい。
読み終わった後、自分で人生を選び取る事の大切さ、本当に全ての不安を取り除いたら幸せだってなくなってしまうのかも……と色々な思いが頭の中を駆けめぐってしまいました。
かなりの衝撃を受けた作品でした。