14歳のLilyは粗野で冷酷な父親と暮らしていましたが、ある出来事を切っ掛けに家出をする決心をします。「亡くなったおまえの母親は、お前を捨てて出て行こうとしていた」という父親の冷たい言葉を信じられず、本当の事を知りたいと、わずかな手掛かりを元にある町へたどり着きます。そして養蜂をして生活している3姉妹の所に滞在する事になるのですが…。
Lilyには4歳の時に母親を誤って射殺してしまったのではないかという記憶があります(撃った瞬間の記憶は抜け落ちているけれど)。
自分が母親に愛されていたと思いたいのに、やっと手に入れた真実はそう安易ではなく…。
3姉妹のもとで暮らすことによって、徐々に空虚な気持ちや絶望感を乗り越えられるようになっていく様子が描かれます。
父親から逃げたままで終わるのかなと思っていたら、終盤、二人は対峙する事に。
この時の父親の恐ろしさと、同時に彼の心のどうしようもない弱さ。
読んでいて頭の中で映画のように画像が浮かび上がり、泣いてしまいそうになりました。
児童書とはまた違う、複雑な心理描写が良かったです。
“Regrets don’t help anything”の台詞にもじわっときました。
過去を消すことはできない。でも未来は変えられる。
感情的にならない抑えた筆致もあって 中盤は少し退屈かなと思う部分もありましたが、後半はぐいぐい引っ張られました。
辛いことを乗り越えた後の穏やかさ、読了できて満足!