エイズ患者を世話するホームケア・ワーカーを語り手とし、彼女と患者たちとの交流をめぐる生と死の、喜びと悲しみの物語。
なにか一般洋書で、余り難解ではなくエンターティメント系ではないものを…と探していて見つけた本 “The Gifts of the Body” 。
末期のエイズ患者を支援するホームケア・ワーカーが主人公で 患者との交流を描いた小説ではありますが、この本の作者が小説家になる前に主人公と同じ職業に就いていた為、ほぼノンフィクションといってもいいリアリティを持っています。
ケア・ワーカーとして依頼者を訪れ、家事などをサポートする筆者が出会った日常の物語です。
主人公も患者たちも精一杯相手を思いやろうとしていて胸がぎゅっとなりました。
特に心に残ったのは冒頭のシナモンロールのエピソードと、ホスピス収容を断る男性の話。
医療関係者でもなく家族でもない主人公の立場は、死が遠くない患者と関わる距離感としてはとても微妙なのですが、精一杯相手を尊重して関わっていくことで彼らから様々な“無形のGift”をもらうことになります。
一般洋書としてはかなり平易な文章で書かれているためYL5台でも十分いけると思います。
感情的にではなく、淡々と描かれていて読みやかったです。